As Usual
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サラリーマンを想定しよう。
係長がいて、課長がいて、部長がいて、部門長がいて、本部長がいて、取締役、常務取締役、 専務取締役、副社長、社長、会長などの階層があったとする。 何々課の前にその人は何々部に所属していて、その前に何々部門、何々本部に所属している、ということになる。社長や会長になっても会社の一員であることに変わりはない。 ひとたび、会社の外を見ると、サラリーマンは会社人であると同時にある地域の住民だ。場合によっては趣味のクラブとか何か別の会にも参加している。音楽のバンドに入っているかもしれない。その地域は東京23区でいえば、住居表示の町名からはじまって、地区、区があり、上位行政単位として東京都、日本がある。その人は東京都の住民であり、日本の住人でもある。この辺まではあたりまえだ。 そこで終わりではない。その人は東アジアの住人であり、アジアの住人であり、東洋の住人でもある。政治・経済的な枠組みを持ちだせば、もっとある。先進国の住人といわれ、南北問題という枠では北側の人といわれる。宗教に焦点を当てれば仏教圏・儒教経験圏の住人であり、食事であれば米食文化圏・魚醤文化圏、ある学問的見地からは照葉樹林帯文化圏の住人でもある。インターネット・ベースでは地域を越えて、共通する興味とか思想とかでのグループ化が進行する。いずれにしても、本人が自覚しているかどうかにかかわらず、さまざまな枠組みの中に同時に存在しているのだ。 枠組みの概念は上位に行けば行くほど、普段身近でないこともあって、自分には関係ないことと思いやすい。毎日マクドナルドやスターバックスに通っていては魚醤文化圏は意識しにくい。アジアを越えて、国連加盟国のことを考え、非加盟国のことを考え、国家になっていない(国家になることを妨げられている)人々のことを考えたくても、普通の人には新聞や本やインターネット程度の情報しかなく、具体的な材料がなかなかない。よって、普通の答えは「オレが考えても実際何か変わるわけでもない」、になる。 そういう場合は、身近な材料を使う。例えば、ゴミについて考えてみる。仕事がら相手をするヨーロッパの人達は東京はゴミが少なくてきれいだと異口同音に言う。それほど、ヨーロッパの大都市ではゴミが路上にちらかっているのだ。北欧のオスロに住んでいた人でさえ、日本の方がゴミがちゃんと処理されていると言う。日本もゴミだらけで汚いといいたいところだが、実際 4年間暮らしたアムステルダムは中心街の路上ほとんどすべてが犬の糞だらけであった。 江戸・明治時代に日本に住んだヨーロッパ人の日記にも日本はきれいだと書いてあるので、日本は個人がどうゴミを処理するかについていい文化をもっていて、今でもそれが生きているのだ。(但し、産業廃棄物の不法投棄や廃棄場所などについての「企業・集団ベース」の道徳には問題がある。お花見時のゴミ置き場は、集団化した時に道徳がはたらかない、いい例)。この個人のゴミについての考え方は他の国の参考になる。皆がポイ捨て(犬の糞を飼い主が放置する)を止めれば実際路上はきれいになる。 サラリーマンとしてではなく、普通の日本人としてポイ捨てをしない道徳観を我々は持っている。日本という大きな枠組みが持っている文化を一人のサラリーマンは知らないうちに継承しているのだ。ポイ捨てをしない習慣が他国ではどうやったら根付くのかを「オレがちょっと考えてみる」ことに意味がある。知らない国のことを少しでも考え、大きい枠組みに参加しよう。 国家を超えて地球があり、さらに太陽系、銀河系、宇宙がある。どこまで上位の枠組みに普段からまじめに取り組めるのかによって徳が決まってくる。オゾンホールが拡大すれば宇宙は一挙に身近になる。言ってみれば、ホールの大きさは地球上の人それぞれの「参加度合い」のバロメーターだ。改善する方に参加するのか、はたまた悪化させる方に加担するのか。個人のポイ捨てとオゾンホール問題はそう離れていない。 地球人はすでに宇宙人としての自覚を迫られている。
by bgst
| 2005-06-27 14:46
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