As Usual
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英会話学校を中心に外国語学校の生徒募集広告がよく目につく。東京だけでも 1,500 社以上の業者があるらしい(いわゆる外国語学校の設立は法律で規制されていない)。それだけ需要が見込めるということだろう。逆に言えば、中学・高校・大学・その他専門学校の教育では会話能力を習得できなかった人が多いということだ。法律に基づき設立された学校の教育システム(中高大専)では読み書きが中心で、会話がないがしろにされていると昔から言われてきた。言われ続けてきたのに、さっぱり直らないのは、特殊な受験志向型教育が生き続けているからだろうか。
日本語が英語から言語的に相当遠い位置関係にあるため日本人のハンディキャップが大きいということは確かだ。西欧の人々が英語を覚えるのと日本人が覚えるのとでは大きな差がある。でも、そうだとしても、ヨーロッパのインターナショナル・スクールで勉強した後、日本の高校で英語の授業を受け、日本の大学をいくつか受験した経験から言うと、やはり日本の受験志向の英語教育が問題だと言わざるを得ない。あれからもう32 年も経っているので、英語授業や受験のやり方は変わったかもしれないと思っていたが、先日ニュースで話題になったリスニング問題(リスニング・テスト用の機材の不具合など)をみる限り、受験の内容そのものはあまり変わっているようには思えない。全国一律、同じ方法でリスニング・テストをしようとする意図はわかるが、本来、会話能力というのは、「聞く耳」を養うことと「意味が通じる言葉を話す」ことが主体となって成立しなければならないはずだ。受験生にフェアであろうとするあまり、同じ人の同じ発音を聞かせて答えさせるのは、実際の会話の上達には役立たない。 会話というのは、相手が誰であろうと、「通じればいい」というのがまず先になければ成立しない。一生懸命、文法的に正しい文を構築しても、発音がひどすぎて通じなければ終わりだし、相手が何を言わんとしているのか、たとえ相手が話すことが文法的に間違っていても、それを理解できるようにすることが大事であって、文法が間違っていたら理解できないというのでは、文字通り話にならない。英語が母国語でない人と英語で話すときは、むしろ文法が間違っていて、発音がひどいのが当たり前で、それを前提に会話をしなければならない。実際、世界では英語が母国語でない人の方がはるかに多い。冗談ではなく、これから更に中国経済が発展すれば、中国語訛りの英語を理解する人がビジネスマンとして適格(中国語が話せればもっといい)ということになる。何といっても、人類の5人に1人は中国人だ。 日本人の外国語学習で重きを置かなければならないのは、まずは語学以前のコミュニケーション能力だ。コミュニケーションの方法は各国文化によって違うので、その基本を学ぶことから始めるべきだ。同じ英語国民でもイギリスとアメリカの文化はかなり違う。イギリス人の遠回しな言い方とアメリカ人のダイレクトな表現は彼らの文化そのものだ。その次は、どの国の言葉であれ、聞いて話すという基本ができているかどうかが大事だ。日本語でまともに話せなければ、外国語で話せるわけがない。特に、論理的な話の展開については、日本語で話す以上に注意が必要だ。誰が、いつ、どこで、どのように、何を、どうしたのか、ということが単純明快に伝えられなければならない。日本語では主語を省略することが多かったり、場合によっては述語さえ省略してしまうので、そこを補う考え方が必要になる。日本では「どうも」といって済む会話が、英語では 5 - 6 語を並べないと通じないということはよくある。外国語会話を学ぶには、こうしたことについての能力レベルを上げておくことが肝心だ。ここまでの勉強は全部日本語でいい。 会話の実際はこれから後になる。まず、聞く耳を養う必要がある。相手は英語国民とは限らない。インド人の英語、中国人の英語、フランス人の英語など、みな結構癖がある。誰と話しても、ある程度内容を把握できるようにしなければならない。最近、日本の外国語学校では英語のネイティヴ・スピーカーが教師になっていることを売り文句にしているところがあるが、これもよしあしで、実際、旅行してみればわかるが、日本の学校で教えるような発音とスピード、或いは難解度で相手が喋ることはほとんどない。イギリスに着いて、空港からタクシーに乗れば、タクシーの運ちゃんは凄いロンドン下町訛りの英語を話し、まったくわからないということになる。アメリカも、テキサスなど南部に行けば、カウボーイ的南部訛りの喋り方に出くわす可能性だってある。ニューヨークもタクシー・ドライバーはインド人、パキスタン人、東欧・ロシア系など非英語国民が多い。一度、イギリスのウェールズに行ったことがあるが、ホテルからタクシー会社に電話してタクシーを呼ぼうとしたが、相手の言っていることがなかなかわからなかった。もちろん相手は「イギリス(イギリス内で言えばウェールズ)」人だ。数回繰り返してもらって、ようやくウェールズ訛りを少し理解できるという具合だった。同じ英語でもそれほどまでに幅がある。 自分で外国語を使って話をするのは、耳を養いながら進めるのがいい。日本で学ぶ場合は、普段からできるだけ幅広い外国人コミュニティーに接することだ。 日本で外国語会話を習うことは決して無駄ではないが、それだけでは道は遠いと思うべきだ。高い授業料を数年間払うよりは、日本人に出会うことのない海外に行って 1年でも住んで生活した方が効果は上がるし、もしかしたら安くつく。
by bgst
| 2006-02-01 19:26
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